新年度になって、新たに小中学校に入学したり、上の学年に進級したりと、多くの人にとって、身の回りの環境が新しくなったことでしょう。
環境が変わると、一日一日が長く感じるのに、振り返れば、毎日はあっという間に過ぎているものです。私たちは、日々の時間が過ぎ去っていく速さを、どれほど意識して過ごせているでしょうか。
今回は、「今を大切に生きること」について考えてみましょう。
矢より速いもの
ある日、お釈迦様は弟子たちを集め、次のような問いかけをされました。
「たとえば、ここに弓術の達人が4人いるとする。そこに1人の男がやってきて、4人に言った。『皆さん4人が、東西南北の四方に向かって弓を引いたなら、私はそれらの矢が地面に落ちる前に、全ての矢をつかんでみせましょう』と。
弟子たちよ。もしそのようなことができるならば、その人は大変な速さを持った人であると言わねばならない」
弟子たちは答えました。
「もしも、弓の達人により1つの方角に射られた矢を、地面に落ちる前に見事につかんだとしても、その人は、大変な速さを持つ人です。しかし、それどころか、この男は、4人の弓の達人が四方に向かって放った矢をつかむというのですから、その速さは全く驚きいったものです」
すると、お釈迦様は続けられました。
「しかし、その人よりも、天を走る日月の方が、さらに速い。そして、日月の速さよりも、さらに速いものがある。それは、人間の寿命である。
それ故に、汝らは、『人の命の過ぎゆく様は、日月の天をゆくよりも速やかである。ならば、我らは怠らず、努力すべきである』と学ばなければならない」
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