出家した比丘たちは、悟りを開くために修行を行う身であり、そのために地位も財産も捨ててきたはずでした。それにもかかわらず、出家する前の特技を自慢し合うことは、比丘として、相応しい行動であるとはいえません。
お釈迦様はそのことを戒め、本来の目的である、仏様の教えについて語ることを勧められ、無駄話をしないように注意されました。
皆さんは、たとえば勉強するために図書館に来たはずが、つい友だちと話してしまい、勉強がはかどらなかったことはありませんか。友だちとおしゃべりするのは、とても楽しいものです。ゲームや漫画、音楽など、趣味や共通の話題であれば、なおさらでしょう。しかし、忘れてはならないのは、何のために集まったかということです。
遊ぶために集まったのであれば、大いに語り合えばよいでしょう。しかし、宿題や勉強といった目的で集まった場であれば、そこは口を慎んで、勉学に励むべきです。
言葉に注意する
私たちが日頃、犯してしまう悪は、大きく分けて、十個あるといいます。身と口と意でつくる悪が挙げられていますが、その中でも、口でつくる悪は最も多く、次の四つがあります。
妄語…嘘をつくこと
綺語…言葉を飾ってしゃべること
悪口…人を悪く言うこと
両舌…陰口で人の仲を裂くこと
口は悪を犯しやすいため、言葉には十分、気をつけなくてはなりません。一度、口にしたことは、書いた字を消すように取り消すことはできず、また、言い方次第で、自分の思っていることがうまく伝わらずに誤解を与えることもあります。余計な一言で、友だちとけんかになってしまったり、気まずい思いをすることもあるでしょう。
言葉は、人とコミュニケーションをとるための大切な手段であり、一言で救われることもあれば、傷つくこともあります。私たちは、お釈迦様の教えによって、口では、悪を犯してしまうことも、善を積めることも学んでいます。時と場合と相手の気持ちを考えて、正しい言葉を使うように、心がけましょう。
文・日向 うらら
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