皆さんは普段、動物を見てどう思いますか。たとえば猫を見て、「学校に行かなくていいなんて、うらやましい」「一日中、寝てばかりで楽そう」などと思ったことはありませんか。
仏教では、人間以外の生き物のことを「畜生」と呼びます。この畜生が住む世界、「畜生界」は、苦しみの世界である「六道界」のうちの一つです。私たちが身近な動物を楽しそうと感じたとしても、それは間違いで、彼らには想像を絶する苦しみがあります。六道界は、私たちが生まれ変わり、死に変わりを繰り返す世界といわれています。
今回は、お釈迦様の教えから、どのような人が畜生界に生まれるのかを、学んでいきましょう。
畜生界に生まれる人
ある時、お釈迦様は王舎城という町で、次のような御説法をされました。
「畜生は34億種類あり、六道界の中でも最も種類が多く、それぞれ形や食べるもの、寿命が異なる。たとえば、狐や犬は何の罪によってお互いに憎み、害し合うのか。かつて人であった時、善人や僧侶の住む場所において、その清らかな食事を汚し、常にふざけて争いを起こしていた。その欲深い心により、その命が終わると畜生界に堕ち、狐や犬の身を受けて、互いに憎しみ合うのである。
また、鹿は何の罪によって鹿に生まれるのか。この者は、前世において、喜んで賊となり、太鼓を打ってホラ貝を吹き、城や村で柵を破壊し、大きな音を出し、人々に様々な恐怖を与えた。そのような人は命が終わると、地獄に堕ちて苦しみを受ける。そして地獄から生まれ変わって、鹿として広い山林に生まれ、常に恐怖にかられる」
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