
長者は、牛がほしいという芸人に、できるはずがないと分かっていて、
「1年間、昼夜休まず」と難題を出しました。そのため最初は、「そのうち疲れて諦めるだろう」と思っていたことでしょう。
しかし、芸人は、「一生懸命に行えば、牛がもらえる」と信じていたため、迷いなく、ひたすら劇を続けることができたのです。
「1年間も続けられるわけがない」と思っていたなら、3日間でさえ劇を続けることはできなかったでしょう。
このように、何かを成し遂げるためには、「志の強さ」が大事です。この芸人のように、目標がはっきりしており、その目標に向かう志が強ければ、一見、無理難題のように思えることも達成できるのです。
一心不乱
芸人は、三日三晩、休むことなく、劇を続けたことで、思いがけず、短い期間で牛を得ることができました。このように、目標を定めた後に大切なのは、目標に向かって、一心不乱に努力することです。
一心不乱の「一心」は、一つのことに心を集中することです。「不乱」は、何があっても心を乱さないことです。つまり、これと決めた一つのことを信じて疑わず、ひたすら努力し続けることが大切です。その最中には、目標がどこにあったか忘れるほど、夢中になるといいます。
「目の前の課題に、がむしゃらに取り組み続けていたら、いつのまにか夢が叶っていた」という偉人は、たくさんいます。
一生懸命に行っていれば、長い年月をかけなくても、夢や目標が叶うことがあるのです。
将来の夢や目標は人それぞれにありますが、私たちが人間として生まれた目的は、お釈迦様のように真の安らぎを得ることです。そのためには精進し、心を磨く必要があります。
「感謝の心」「優しい言葉づかい」「いつも笑顔でいる」など、仏教にはたくさんの大切な教えがあります。その一つ一つは、意識すればすぐにできそうなことばかりですが、ずっと続けるとなると、難しいものです。それでも、課題に素直に向き合い、努力を続けていれば、心は着実に磨かれていきます。
真の安らぎという目的を叶えるため、まずはできることから実践し、続けていけるよう努力を重ねていきましょう。
文・夕凪 ねね
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