東西南北の四方に放った矢が地面に落ちるのにかかる時間は、ほんの数秒のことです。お釈迦様は、その一瞬の時間を、日月の速さ、私たちの寿命が尽きる速さと比べて説かれました。
日月は、昇って沈み、再び昇るまで、24時間です。しかし、考えてみれば、私たちの感覚では、その1日が経つのは、あっという間ではないでしょうか。
かの有名な豊臣秀吉は、死ぬ間際に、「露と落ち 露と消えにし 我が身かな
浪速のことも 夢のまた夢」と詠い、自らの60余年の生涯を、露が葉っぱから落ちて地面へと消えゆくまでの一瞬に喩えました。
人間の一生さえも、あっという間に過ぎ去るということであり、それはまさに、日月の速さを超えるのです。一瞬に過ぎていく命を、私たちは大切に使っているでしょうか。
人生はあっという間
私たちは、何か面倒なことがあると、「明日やればいいや」と先延ばしにしてしまうことがあります。しかし、明日があるのは当たり前ではありません。誰もがいつ死ぬのかは分かりません。若くして病気や事故で亡くなる人もいます。
私たちは、あっという間の人生を歩むにあたって、人生の目標をしっかりと持ち、その目標を達成するために必要なことは何かを考え、行動することが大切です。自分の人生をよりよく、光り輝くものにするために、一瞬一瞬を、努力し、精一杯生きるという経験を積んでいきましょう。
学校の授業を集中して聞くことや、家族や友人と充実した時間を過ごすことはもちろんですが、仏様の教えに耳を傾け、心静かに手を合わせること、人のためにできることを考えて行動することなど、一つ一つの時間の過ごし方を見直し、大切にすることで、人生をより素晴らしいものへと導くことができます。
時間は待ってはくれません。後悔することのないよう、今この一瞬一瞬を大切に生きていきましょう。
文・瀬名 みさき
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