
お釈迦様が病に倒れられたとなれば、弟子たちは先を争ってお世話をするものですが、誰も知らない一人の弟子が病にかかった時、彼を心配し、世話をしようとする者はいませんでした。皆さんは、友だちが病気になった時、どうしますか。
「大丈夫かな、友だちが学校に来ないとさみしいな。早く、元気になってほしいな」
と、心配になるのではないでしょうか。学校の宿題やプリントを届けたり、元気になったら、休んでいた間の勉強を教えてあげたりすることでしょう。
このように、心配したり、助けてあげることも、病気の人を思うことになります。直接、看病することができなくても、自分にできることをしてあげることが大切です。
一番の幸福のもと
ある経典には、
「八つの福田の中で、病人の看病は、第一の福田である」と説かれています。
「福田」とは、種をまいたら芽の出る田んぼのように、施しをした時に功徳が芽生える相手のことです。
その「八つの福田」とは、
「仏様、聖人、和尚、阿闍梨、僧侶、父、母、病人」という、八種類の人々のことを指しています。
仏様を始め、たくさんの尊い方々がおられる中で、お釈迦様は、「病人」が第一であると仰っているのです。さらに、「山より高き父の恩、海より深き母の恩」という、父母の恩の大切さをあわせて考えると、病気の父母を看病することが、何より大切だといえるでしょう。
苦を抜き 楽を与える
「元気でいたい」「家族みんなが無事でいてほしい」「長生きをしたい」とは、誰もが願うことですが、人は皆、病気になり、苦しい思いをすることがあるものです。
そうして苦しんでいる人々に対し、
「苦しみを代わってやりたい」「少しでも楽にしてやりたい」「救ってやりたい」と思う心は、「抜苦与楽(苦を抜き、楽を与える)」といって、仏様の慈悲の心です。
もし、皆さんの家族や友だちの中に、病気で起き上がることができず、苦しんでいる人がいたら、看病をしたり、掃除や洗濯などのお手伝いをして、喜ばせてあげましょう。病気の人のことを思い、その人の心が少しでも安らぐよう、できることをすることが、相手を幸せにし、自分をも幸せにするのです。
文・
飛鳥 ゆめ
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