お釈迦様は、針の穴に糸を通すという、功徳を積む機会を見逃さず、自ら率先して善を行われました。
功徳を積むことは、真の幸福をもたらします。誰も見ていなくても、たとえ小さなことでも、自分のなした善い行いは、幸福をもたらす種となり、心の中にどんどんたまっていきます。
正直者が損をするという物の見方は大きな誤りであり、善い行いをすれば、すぐには結果が出なくても、未来には必ず幸福な結果が生まれます。それが仏教の説く理です。
今しか積めない功徳
また、極楽浄土という私たちの目指す世界では、皆が善い行いをするため、功徳を積みにくいといわれます。反対に、私たちの住む人間界では、悪が多いため、善い行いをすれば、とても大きな功徳を積むことができます。
そのことを、昔の高僧は、
「極楽の百年の修行は、人間界での一日の功徳にも及ばない」
とまで言い切っておられます。私たちが功徳を積ませて頂ける時は今しかないのです。
善に励む
では、具体的にはどういうことをすればよいのでしょうか。
それは、お寺の行事に進んで参加して、仏様にお参りし、仏様の教えを聴聞し、お寺で学んだことを日常生活の場で実践することです。他の人のための行いは全て、功徳を積める機会です。そして大切なのは、善い行いを続けるということです。つまり、今日はもう善いことをしたから明日はしなくてもいいというわけではありません。
お釈迦様でさえ、すでに仏となられた身でありながら、生きとし生けるものを救うために、功徳を積もうとされたことを思い出して下さい。
善い行いを続けることで、心が善で満たされると、「あの人は徳のある人だ」などと言われるように、積んだ功徳は、目には見えなくとも、確実に自分に備わります。自信と勇気を持って、善い行いを実践していきましょう。
文・日向 うらら
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