人々は、御説法を聞くために、皆で協力して布施を行い、僧侶を招きました。「一晩中」を予定していたことから、人々はよほど御説法を聞きたかったのでしょう。しかし、時間が経つにつれ、「帰りたい」「寝たい」などの気持ちにとらわれ、とうとう誰も目的を果たすことができませんでした。
最初に思い立った志を最後まで貫き通すことを、「初志貫徹」といいます。皆さんも、最初に志を持っても、なかなか続けられずに苦しんだことがあるのではないでしょうか。
たとえば、夏休みの初めに宿題の計画表をつくっても、「プールに行きたい」「ゲームをしたい」「友だちと遊びたい」という気持ちにとらわれ、気がつけば、宿題に手をつけないまま、夏休みが、あと数日になってしまったという経験がある人は多いでしょう。
なぜ、志を貫き通すことは難しいのでしょうか。身のまわりに楽しいことがたくさんあるからと、その原因をまわりのせいにしてはいけません。志を貫けない原因は、私たちの心に、「楽をしたい」という煩悩があり、目の前に楽しいことがあると、つい初心を忘れてしまい、楽な方へと流されてしまうからです。
では、どうしたら志を貫けるのでしょうか。そのためには、どうしてその志を立てたのか、理由や目的をはっきりさせたり、志を達成するために、クリアしなければならない目標を細かく立てたり、達成した時の自分の姿をイメージしたりすることが大切です。その積み重ねが「志を貫くこと」につながっていきます。
文・秋空 あゆむ
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