国王や王妃のような高い地位の人であっても、悪い行いをすれば、当然、悪い結果が生じます。二人は仙人を殺す悪を犯し、仙人の生まれ変わりでもある太子に恨まれ、牢屋で苦しみました。
皆さんは、夫人のように、突然、牢屋に一人で閉じ込められたとしたら、どうしますか。逃げ出すこともできず、不安で仕方がないはずです。また、自分の悪かったところを反省したり、今までの当たり前の生活が幸せだったと実感したりして、早く元の生活に戻りたいと願うのではないでしょうか。しかし、自分の住んでいた世界が、どこまでもつらく苦しいものだと気がついた夫人は、王妃の生活に戻ることさえも望まなくなりました。苦しみの世界から離れたい、安らかな世界にいきたいと、「浄土」を心から願ったのです。
このように、苦しみから離れ、安心を求める心を「菩提心」といいます。私たちが生きる人間界は、楽しいこともありますが、苦しみの世界の一つです。そして、仏様の安らかな世界を求める心は、お釈迦様が永年、人々に伝えたかった心でもありました。
通じ合う心
たとえば、友だちが悩みを抱え、困っている時、あなたがその解決策を知っていても、相手が解決したいと思わず、聞く耳を持ってくれないなら、何とか力になりたいと思っていても、どうすることもできません。同じように、生きとし生けるものの安らぎを願う仏様も、私たちが安心を求めようとしなければ、救うことができません。安らぎを求める菩提心こそ、仏様の心と通じるための大切な心です。
この大切な心を保ち続けるために、仏様の教えを学び、思いやりの心を実践していきましょう。
文・秋空 あゆむ
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