仏教では、私たちの行いを、身でなした行い、口で語った言葉、心で思ったこととして、身・口・意の三つに分けて教えています。
たとえば、けんかをして相手を傷つけることを言ってしまった時、発した言葉は一瞬ですが、言われた人の心は傷つき、痛みや恨みとして残り続け、また、言葉を発した側も、後悔しても一度出した言葉を戻すことはできず、お互いに苦しむことになります。このように、口で語った言葉は、後々まで影響を及ぼすため、お釈迦様は、はじめに、「言葉を慎みなさい」と仰せになりました。
これは、心や身でも同じことです。たとえば、困っているところを助けてもらった人の心には、感謝の思いが残ります。多くの人々のために尽くした人は、「立派な人だった」と歴史に名前が残り、その行いは後世の人々にまで伝えられていきます。
このように、身・口・意でなした行いは、決して消えることなく、目に見えない種として蓄えられます。そして、木が花を咲かせるように、縁が来れば芽吹き、私たちの運命を左右するほどの結果さえもたらします。
私たちは、人間として生まれる前の世から、身・口・意の行いを積み重ねており、楽しいことも苦しいことも全て、自分の行いの報いを受けています。
ですから、お釈迦様は、常々、「悪いことをせず、善いことをしなさい」と、説いておられたのです。
幸せへの道
皆さんは、お父さん、お母さんのお蔭で、人として生まれてきたことに感謝していますか。
時には、自分と友だちを比べて、「友だちのお母さんは優しそうでいいなあ」とか、「新しい家でいいなあ」など、うらやましく思ったことはありませんか。
私たちは一人一人、生まれながらに環境が違い、個人の能力、顔や姿も、全て異なっています。しかし、それも、私たちが過去世において行ったことが原因となっているのです。お父さん、お母さんと一緒に仏様の教えに触れ、日々、身・口・意で、善い行いを続けることが、幸せな人生へとつながっていくのです。
文・
飛鳥 ゆめ
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