両親を亡くした十歳の少女サーヤは給孤独長 者に引き取られ、家事の手伝いをしていました。
ある日、サーヤはお釈迦様のお話を聞きに行く機会がありました。
「サーヤよ。毎日、悪いことをしないだけでなく、少しでも善いことをするように心がけなさい。善の中でも特に大切なのは、貧しい人や困っている人を助けるために、お金や物を施したり、 仏 様の教えを多くの人に伝えるために、努力したりすることである」
「でも、私にはお金もないし、人にあげられる物もありません」
「財産がなくても、思いやりの心があればできる七つの布施があり、大きな善行を積むことができるのだよ」
その言葉を聞いたサーヤは、自分にもできる布施があると知り、目を輝かせました。
無 財 の 七 施
お釈迦様は、お金などがなくても、十歳のサーヤにも実践できる布施を説かれました。これを無財の七施といい、次のようなものがあります。
① 眼 施 やさしい眼差し
② 和顔施 笑顔
③ 言辞施 やさしい言葉
④ 身 施 身体的な奉仕
⑤ 心 施 温かい心
⑥ 床座施 席を譲る
⑦ 房舎施 家を使って頂く
サーヤはさっそく次の日から和顔施を実践しました。寂しくていつも泣いていたサーヤが、ニコニコ笑顔で仕事をするようになり、とても喜んだ給孤独長者は、サーヤと一緒に、お釈迦様のお話を聞きに行くようになりました。
さ せ て 頂 く 心
布施とは、相手への心からの思いで生まれるものです。
初めは照れくさかったり、損をしたと思ったりしますが、その人の喜んでいる顔を見ていると、もっともっと喜ばせたくなり、だんだん自分の方が幸せな気持ちになります。
心を込めた行いは、相手への贈り物になることはもちろん、させて頂いている自分にも、最高の贈り物になります。
だからこそ、「してあげる」ではなく、感謝の心で「させて頂く」ことが大切なのです。
文・日向 うらら