夜の星空を眺めたことはありますか。果てしなく広がる空に、輝く銀河、美しい月を見ると、自分の存在や悩みなど、ちっぽけなものに思えてきます。
この大宇宙は、およそ百数十億年前、ビッグバン(大爆発)を起こし、その熱エネルギーが果てしない空間に拡がっていきました。熱エネルギーはやがてガスやちりとなって星雲となり、その星雲からは、数えきれないほどの輝く星や、無数の銀河が生まれました。星の内部では、高熱と高圧の中で、次々に新しい原子が生まれました。
仏教では、これ以上分割できない最小の物体を「極微」といい、この極微が集まると「微塵」となり、地・水・火・風の四大要素として、「重さ」「熱さ」「潤い」「動き」などの特徴を帯びます。私たちの骨や肉は「地」、涙や血液は「水」、体温は「火」、息は「風」と表すことができるでしょう。
この四元素が集まると物体が生じ、この結合が解けてしまうと、消滅して空に戻るといわれています。つまり、死んでしまうと、体は全て、大自然の仏の世界へ帰っていくのです。
私たちの体は、髪の毛の一本、目や口も、目には見えない小さな粒子の粒が、「縁」あって集まってできており、「縁」が尽きれば、宇宙に戻っていく「借りもの」といえます。
皆さんは、自分の体は、「自分のもの」と思っていませんか。
しかし、考えてみてください。風邪をひいた時、熱を自分で下げられますか。せきや鼻水を自分で止めることができますか。自分で心臓を止めることはできるでしょうか。それができないのは、体が大自然、仏様からの「賜りもの」だからです。
生きる目的
賜りものの体を頂いている私たちは、どう生きればよいのでしょうか。毎日楽しく、美味しい物を食べて、したいことをして生きればよいのでしょうか。それでは、動物と何も変わりません。
お釈迦様は、
「大宇宙の中で、人間だけが、たった一つの尊い目的を持っている」と仰っています。それは、お釈迦様の教えを学び、実践することです。また、人間が他の動物と違っているところは、感謝し、他を思いやることができるということです。それは、
「全ての生きとし生けるものが幸せであれ」という仏様の願いでもあります。
私たちには、「自分のことばかり考えてしまう」「怠けたい」という心があります。そんな弱い心に流されないためには、お寺などで、日頃から、お釈迦様の教えを聞き、自分を振り返り、反省することが大切なのです。
文・
飛鳥 ゆめ
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