念佛宗 【念仏宗】無量壽寺|まなびの泉

念仏宗の総合案内 サイト更新日2020年7月5日

HOME > まなびの泉 本棚 > 本棚75 1頁






 私たちは、学校生活の中で新しい友だちとの出会いもあれば、転校や卒業によって、別れという辛い経験をすることもあります。それ以上に辛い別れは、もう二度と会えない、「死」という別れです。
 皆さんは、愛しいものを失ったことがありますか。今回は、愛しいものとの別れについて学びましょう。

子象の死

 昔、ヒマラヤの山奥に、修行をしている行者がいました。ある日のこと、行者は木の実を探しに出かける途中で、群れからはぐれた一頭の子象に出会いました。
 行者は、独りでさびしそうな子象を自分の家に連れて帰り、木の実を食べさせました。そのうち、我が子のように可愛がるようになり、いつしか子象も目を細め、鼻をのばして、行者に甘えるようになりました。やがて、子象が成長して大きくなると、行者を背に乗せて、食べ物を探しに出かけるほど、仲よくなりました。行者と子象は、いつも一緒でした。
 ところが、ある日、子象は急に元気がなくなりました。心配した行者は、子象のために、薬草を探しに出かけました。そして薬草を見つけ出し、「これで子象が元気になる」と喜びながら、家に持って帰りました。
 しかし、家に帰った時にはもう、子象は死んでしまっていたのです。驚いた行者は子象にかけより、その大きな首を抱きしめ、涙を流しました。そして、ずっと悲しみ続けました。
 天界の長は、この様子を御覧になり、行者に言いました。
「どんなに涙を流そうと、死者は二度と帰らない。もし泣くことで帰るなら、誰でもいつでも泣けばよい。しかし、どれだけ死者を嘆いても、全く無駄なことなのだ。生きとし生けるものは、皆、死から逃れることはできない。涙をふいて、賢者の道を修めなさい」

本棚75 2頁