
「えっ、そんなことで、地獄の何倍も苦しく感じるのか」と疑問に思うかもしれません。しかし、それほどまで、天界の生活というのは、楽に満ちているのです。そのため、悟りを得る道を探すことがなく、今までに積み上げてきた功徳を、ただ使い果たすだけの世界でもあります。
さらに、天界は人間界に比べて、欲しいものが手に入り、自分の思い通りになる世界でもあります。
皆さんは、もし全てが自分の思い通りになる世界になったら、どうなると思いますか。
欲しいものは全部手に入り、勉強をしたくなければ、しなくてもよい世界。きっと最初は、うれしく、幸せな気持ちで満たされるでしょう。しかし、その後に待っているのは、楽に慣れたことによる苦しみです。
有頂天になった後に気分が落ち込むと、普段落ち込むよりも、ずっと苦しい気分になるのと同じです。この「有頂天」は、天界の中でも、最高の世界といわれていますが、たとえ気持ちが舞い上がったとしても、それがいつまでも続くことはなく、いずれ落ちていくしかないのです。そのため、どれだけ楽が多くとも、天界も苦しみの世界であることには変わりありません。それでも、天界に行きたいと思えるでしょうか。
極楽浄土
仏教では、生まれ変わり死に変わりをすることがなく、苦しみのない世界があると説かれています。それが、極楽浄土です。では、その極楽浄土に往くためには、どうしたらよいのでしょうか。
それは、極楽浄土に生まれたいという願いを起こし、信心を得て、その信心を命が終わる時まで保つことです。信じる心を得ること、そして持ち続けることは、難しいことです。楽しみに心を奪われると、その大切さを忘れてしまうからです。
そうならないために、日頃から手を合わせつつ、真の仏教を説くお寺にお参りして、仏様の教えに触れることが大切です。
文・
瀬名 みさき
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