誰もが、いつか必ず、大切な人と別れなければなりません。
私たちも、お父さんやお母さん、兄弟姉妹に死が訪れた時、寂しさや悲しみでいっぱいになるでしょう。そして自分に死が近づいているとわかった時、「自分が死ぬ」という、何とも言えない不安が押し寄せるものです。
「死」が訪れるのは、何も人間に限ったことではありません。
動物や植物といった生き物は言うまでもなく、皆さんが大切にしているおもちゃやゲーム、教科書や筆記用具も、ずっと新品のようにきれいということはなく、壊れて使えなくなったり、使わなくなり捨てることもあるでしょう。野菜や魚や肉などの食べ物も、放っておけば腐って食べられなくなります。
この世に存在する全てのものには、いつか必ず終わりが来るのです。このように、変化し続け、いつか終わりが来ることを「無常」といいます。
怠ることなく
私たちは、そのような世界を生きながらも、まだ死なない、明日があると思っています。やらなければならないことがあっても、「明日やればいい」と後回しにすることは誰にでもあることです。
お釈迦様は、入滅される直前、
「この世は無常である。怠ることなく精進せよ」と遺言されました。
いつ死が訪れても後悔しないように、慌てないように、準備すること、そして生き甲斐のある目標をもって努力することが肝心です。
勉強でも部活でも、目の前にあることや目指していることに向かい合って、精一杯努力することです。時にはくじけそうになっても、その度に反省し、少しずつでも励み続けることができれば、自分の力や自信になり、素晴らしい生き方につながります。
生きてきて良かった
お釈迦様との別れを前に、阿難尊者のように、嘆き悲しむ弟子も多い中、ひとり黙々と修行する弟子がいました。その弟子の姿を御覧になり、お釈迦様は大変お喜びになったといいます。
その時々に、自分のなすべきことに一生懸命努力すること。それこそが、死を目の前にしても、
「生まれてきてよかった。生きてきてよかった。幸せな人生であった」
と思える人生を、生きることになるのです。悔いなく人生を終えるためには、悔いなく生きねばなりません。全てのものは無常であると知り、今を精一杯生きていきましょう。
文・陽美 まり
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