お釈迦様は、そんな王子夫妻に対し、「善い行いをしようという決意と努力」の大切さを説かれました。
つまり、私たちが毎日、朝昼晩と過ごす中で、知らず知らずのうちに悪い行いをしているからこそ、たとえば、朝起きた時だけでも、昼の休み時間の間だけでも、夜寝る前だけでもよいから、そんな自分を反省し、善い行いを思わねばならない、と仰せです。
そのように、自分を反省する時間をつくることは、意識してもなかなかできることではありません。ですから、お釈迦様の時代には、弟子たちは月に二回、一つの場所に集まって、それまでの自分の悪い行いをみんなの前で告白し、強く反省する時間をもっていました。みんなの前で悪い行いを告白することは、いつの時代も、とても恥ずかしい思いがするものですが、弟子たちはそうした気持ちを乗り越えて告白することで、反省の気持ちをより強くし、善を行うことを誓っていたのです。
仏様の前で
では、私たちの反省の時間とは、どういうものでしょうか。昔から、日本人はお仏壇の前で朝晩に勤行をして、その日を感謝し、反省する時間をもってきました。
皆さんも、家やお寺の仏様に手を合わせ、お念仏を唱えたことがあると思います。念仏とは、仏様を念ずると書き、自分の心に仏様をおくことです。それは、心の中に鏡をおくようなもので、自分の姿が仏様に照らして正しいかどうかを考えるということです。
仏様と向き合い、自分の行いを振り返りながら、毎日を過ごしていきましょう。
文・末広 かりん
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