皆さんが「幸せだな」と感じるのはどんな時ですか。
ほしいものを買ってもらえた時、おこづかいが増えた時、美味しいものを食べた時、遊園地へ出かけた時…など、幸せは、人それぞれにあるでしょう。しかし、お釈迦様が説かれた「幸せ」は、私たちが感じる幸せとは、少し違うようです。
幸せとは何か
ある日のこと、お釈迦様の五百人の弟子たちが集まり、互いに様々なことについて語り合っていました。そのうち話が、幸せについて、ということになりました。
「人間にとって、幸せとは何だろう」と、ある者が皆に問いかけました。
「それは、お金でしょう」一人の弟子が答えました。
「しかし、お金で欲しいものを手に入れても、また別のものが欲しくなり、もっとお金が必要になる。それでは、本当の幸せとはいえないのでは…」
次々と意見が出てきます。
「私は名誉だと思う。名誉はお金では買えないし、選ばれた者にしか与えられない」
「しかし、隣の国の国王は、さらなる名誉を求めて別の国と戦をしています。それも、きりがないのでは…」
「最高の幸せは、美味しい物を食べることでしょう。その時の幸福感は何ともいえませんから」
と誰かが言うと、別の者が言いました。
「食べた時は満足でも、時間が経ち、お腹が減ると、また別の物が食べたくなって、きりがありません」
意見を交わしても、答えは見つからず、皆は黙り込んでしまいました。
そこに托鉢を終えられたお釈迦様が来られ、話をお聞きになると、
「お金や名誉、食べ物など、欲の幸せに執着している限り、決して本当の幸せを手に入れることはできない」
と仰り、次のように説かれました。
「仏がおられ、仏の教えを聞くことができること、仏の道を歩む仲間と心を一つにすることが幸せである。
そして、仏の世界に帰るため、仲間と共に善い行いを実践することこそ、幸せなことである」