念仏宗【念佛宗】無量壽寺|まなびの泉

念仏宗の総合案内 サイト更新日2024年12月7日

 

心へのにおい移り
 皆さんも日常の中で、におい移りを感じたことがあるでしょう。 煙草を吸っている人の横にいるだけで服が煙草臭かったり、お仏壇にお参りした後は線香のいい香りがしたりします。
 これと同じように、私たち自身もまた、知らず知らずのうちに、周りの環境から「におい移り」しています。
 たとえば、自分が親と同じ癖をもっていることはありませんか。これは、知らず知らずのうちに親の行動を真似してしまうことから起こります。他にも、赤ちゃんの頃に狼に育てられた狼少女は、人間なのに四つん這いで歩き、生肉を食べるようになるといいます。
 このように、善くも悪くも、私たちは周りの環境によって大きく変化してしまうのです。 このことを、仏教では、まるで種が植え付けられるように、自分の経験や感じたこと、周りの環境から受けた印象などの全てが心の奥底に貯えられる、と説いています。そして、その種が何かをきっかけに芽を出して、善い花を咲かせたり、悪い実を結んだりするとされます。
 少しでも悪に触れたなら、その種は必ず貯えられてしまい、いつ悪い芽を出すかわかりません。 だからこそ、お釈迦様は「悪に近づくなかれ」と説かれ、弟子たちに善き環境に身をおくことを勧められました。
 

悪を離れ 善に近づく

 
 仏教と聞くと、なんだか難しそう、と思うかもしれません。
 しかし、お釈迦様が説かれた教えはとても簡単で、「悪いことをせず、善いことをして自分の心を清めなさい。それが仏の教えである」と仰せです。
 善いことだとわかっていても、周りの目が気になって、行動に移せないこともあるかもしれません。そんな時は、お寺などの清らかな環境に身をおくことで、善いことが自然とできるように習慣づけることが大切です。
 仏様の教えを繰り返し聞いて心に刻むことは、たとえば、部活動で体が覚えるまで何度も反復練習することと似ています。そうして意識しなくても自然と行えるようになった時、それは習慣になったといえます。さらに、善き環境に身をおくだけでなく、自分で善き環境をつくっていくという努力も必要です。
 環境は人生を大きく変えるということを忘れず、自分にとっても周りにとっても善き環境をつくり、充実した人生を歩んでいきましょう。
 

文・日向 うらら

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