「早めに宿題をすませよう」と思っていたのに、マンガを読んだり、好きなテレビ番組を見たりして、結局、眠くなって寝てしまうことはありませんか。他にも、寝る前にお菓子を食べると虫歯になるとわかっているのに食べてしまうなど、わかっているけど、止められないということは意外と多いものです。
そして、たいていの場合、その時は満足しても、後になって後悔することが多いのではないでしょうか。今回は、そんな人間の愚かさについて学びます。
旅人のたとえ
お釈迦様は、ある時、王様にたとえ話を使って、教えを説かれました。
「昔、一人の旅人が果てしない荒野を歩いていると、突然、凶暴なゾウが追いかけてきた。旅人は怖くなって走ったが、周りを見渡しても隠れるところはなく、夢中で逃げ回った。そしてそのうち、井戸があるのを見つけた。さらに、そばの木の根が井戸の中へと垂れていた。旅人はすぐに根をつかみ、井戸の中に身をひそめた。しかし、ほっとしたのもつかの間、2匹のネズミが出てきて、かわるがわる木の根をかじりはじめてしまった。このままでは井戸の底に落ちてしまう。しかも、ただ落ちてしまうだけではなかった。下を見ると、4匹の毒蛇が旅人を睨みつけ、中央には大きな毒龍が、旅人が落ちるのを待ち受けていたのである。旅人はおびえ、木の根が切れないように祈って、必死に握りしめた。しかし、その恐怖さえも長くは続かなかった。木の上のハチの巣から、甘いはちみつがポタポタと口元に落ちてきたからである。旅人は、ゾウも毒蛇も毒龍も、根が今にもネズミにかみ切られようとしていることも全て忘れて、はちみつに心を奪われてしまったのである」
王様は、たかがはちみつで恐ろしさを忘れてしまう旅人の愚かさを笑いましたが、お釈迦様は、
「これはそのまま、あなた方、人間のありのままの姿である」と、お説きになったのです。
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