みなさんは、日々の生活の中で、どのくらい悩んだり、迷ったりすることがありますか。人は成長するにつれ、悩みや迷いが増えてくるものです。
幼い頃は公園や学校の運動場などで、何も悩まずに楽しく遊びまわっていたことでしょう。しかし、少しずつ、友だちとの関係で悩んだり、自分の進路や将来のことで迷ったりすることが、増えてきたのではないでしょうか。悩んでいる時には、気持ちが落ち込んだり、考え込んでしまいます。そんな時には、遊んだり、好きなことをして、悩みを考えないようにすることがよい、と思うかもしれません。
しかし、仏教では、「迷いこそ、幸せになる転機だ」と教えています。なぜ、悩み迷うことが幸せにつながるのでしょうか。
泥の中の蓮
ある時、維摩という弟子が、文殊菩薩に問いかけました。
「仏様になる種とは、どのようなものなのでしょうか」
文殊菩薩は、次のように答えました。
「仏になる種とは、身体があり、無知による執着があり、貪欲や怒りや愚痴といった煩悩があることである。それはたとえば、蓮の花が、清らかで乾いた高原の台地には咲かず、卑しくて湿った、汚い泥の中にこそ咲くようなものである。煩悩という泥の中にあって初めて、衆生は、悟りを求める心を起こし、仏になる縁を備えるのである」
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