念佛宗 【念仏宗】無量壽寺|まなびの泉

念仏宗の総合案内 サイト更新日2023年6月24日

 
 
   

 皆さんは、学校や家庭の中で、「誰かのために行動した」という経験はありますか。目の前に困っている人がいる時、手を差し伸べることができるのは、とてもすばらしいことです。しかし、普段、私たちは無意識に自分のことを中心に考えて行動しているものです。近くに困っている人がいても、気づかないことも多くあります。
 今回は、人のために行動することについて考えたいと思います。

鹿の王ニグローダ

 昔、ある国に、鹿の肉が大好物で、鹿狩りに夢中になっている王様がいました。近くの森には、五百頭の鹿の群れが棲んでおり、ニグローダという黄金色の鹿が群れを率いていました。
 鹿たちは、毎日、次々に矢で射られ、死んでいきました。ニグローダは、
「仲間たちの苦しみを何とかしたい」と思い、無駄に大勢が傷つけられないよう、毎日、一頭ずつが身を差し出すことを決めました。
 ある日、おなかに子供を身ごもった雌鹿にその順番が回ってきました。
 雌鹿は、「私のおなかには、子供がおります。その子を産んでから身を捧げますので、少し時間を頂けないでしょうか」と、ニグローダに相談に来ました。
 それを聞いたニグローダは、雌鹿とおなかの子供のために、自分が身代わりとなり、王様のもとに進み出ました。
 王様がニグローダに事情を聞くと、「ある者が受けるべき死の苦しみを、私が勝手に他の者に負わせるわけにはいきません。また、私が作った規則を私自身が破るわけにもいきません。そこで、私自身が彼女の死を引き受けることにしたのです」と、ニグローダは答えました。
 王様は、ニグローダの立派な態度に深く感動し、身ごもった雌鹿を殺さないことを決めました。さらに、王様は、動物たちも死を恐れることに気づき、生き物の命を無駄に奪ってはならないという決まりを作ったのでした。
 このニグローダこそが、お釈迦様の過去世のお姿と伝えられています。