念佛宗 【念仏宗】無量壽寺|まなびの泉

念仏宗の総合案内 サイト更新日2023年6月24日

 
 
 
  

 
 親子で一緒にいると、「君はお父さん似だね」「だんだんお母さんに似てきたね」などと言われたことはありませんか。顔だけではなく、行動や性格まで似ているということもあるでしょう。親と子は、日々の生活の中では、何でも話せて、甘えられる時もあれば、叱られて反抗したり、親子げんかをすることもあります。
 そんな「親子」とは、いったいどのような関係なのでしょうか。今回は、「親心」について学びます。

 

導かれたカーラ

 昔、ある長者に、カーラという息子がいました。カーラは、お釈迦様のもとに行くこともせず、お釈迦様が家に来られた時も、お説法を聞かないばかりか、会おうともせず、もちろん、奉仕をしようとも思いませんでした。
「このままでは、息子は地獄に落ちてしまう」と心配した長者は、「息子よ、お釈迦様のお説法を聞いて来なさい。そうすれば、100カハーパナのお金をやろう」と言いました。カーラは、おこづかいほしさに、お釈迦様のもとへ行きましたが、上の空でお説法を聞いていたため、内容を覚えることもなく、家に帰りました。
 長者は、約束のお金を与えた後、「もし、お釈迦様のもとで、教えを一つでも覚えてくることができたなら、1000カハーパナをやろう」と言いました。
 そこで、カーラはまた、お釈迦様のもとへ行きましたが、教えを一つだけ覚えたら、すぐに逃げ出そうと思っていたため、その心を見抜かれたお釈迦様は、わざと難しく教えを説かれました。そのため、カーラは、その教えが覚えられず、「次の教えを覚えよう」と思い、お話を聞き続けることにしました。
 このようにして、カーラは少しずつ教えの理解を深めていき、「最後まで教えを学ぼう」と考え、聞き続けているうちに、悟りを得ることができました。家に帰ってきた息子に、長者は約束のお金を渡そうとしましたが、息子は受け取りませんでした。驚いた長者が、お釈迦様に事の次第を申し上げると、お釈迦様は、次のように仰せになりました。
「今、そなたの息子が得ている悟りは、人間界で王になるより、天界に生まれるよりも、はるかに勝れたものである」