
皆さんは、学校の授業で習ったり、部活で指導を受けながら練習をしたりと、日々、たくさんのことを教えてもらっているでしょう。逆に、自分が誰かに何かを伝える時、自分がやった通りに教えても、それが伝わらず、やきもきしたことはないでしょうか。
「指導」という言葉は、ある目的や目標を指し示し、そこへ向かって導くことですが、それは一筋縄ではいかないものです。
今回は、相手に合わせて教え、導くことについて学んでいきましょう。
優波離尊者
お釈迦様の弟子の一人、優波離尊者は、出家する前は身分が低く、学問などはせず、人に仕える仕事をしていました。
ある日のこと、優波離尊者は、「人のいない静かな場所で一人で修行したいです」と申し出ましたが、お釈迦様は、それを許可しませんでした。
お釈迦様は、他の弟子には、静かな場所で修行することを勧めておられたため、優波離尊者は、納得がいきません。そんな優波離尊者の心を察せられたお釈迦様は、次のようにお説きになりました。
「優波離よ。たとえば、ここに大きな池があるとする。そこに、大きな象がやってきて、その池に入り、まことに楽しげに、背を洗い、耳を洗い始める。そこに、うさぎと猫がやってきて、象の様子にひかれて、池の中に入ろうとする。しかし、少しその池に入ると、急にこわくなり、池から出てしまう。象と彼らとでは、その体の大きさが全く違うため、深くて驚いたのである。
優波離よ。そなたは、弟子が集って修行しているここにいなさい。ここで修行をすることで、そなたは安らかな心に至ることができるであろう」
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