たとえば、部活動や勉強などでも、教えられたことを全員ができるわけではありません。それは、一人一人の能力や取り組む姿勢、考え方が違っていて、同じ人などいないからです。
お釈迦様も、教えを乞う人のそれぞれの能力を見定め、その人に合った説き方をされました。これを、仏教では、「対機説法」といいます。その結果、お釈迦様の説かれた教えは、巻物にして七千巻から八千巻という、とても膨大な量になったのです。
このように、お釈迦様は、どんな人にも届くようにと、たくさんの教えを遺して下さいました。
古歌に、「わけのぼる 麓の道は 多けれど 同じ高嶺の 月を見るかな」
とあるように、入口や通り道は違っても、仏の道を真っ直ぐに歩めば、最後には皆同じ仏様の世界へと通じています。
難しく考えず、聞いたお話の中で、何か一つでも実践してみるという気持ちが大切です。
同じ目的地に向かって
「仏教になんて全然興味ない」と思っていたのに、親が勧めるからという理由で参加した林間学校での出会いのお蔭で、仏教に対する考え方が変わり、積極的に仏様のお話を聴くようになった人もいます。
いつ、どんなきっかけで、仏様の教えの大切さに気付くかは、人それぞれです。
生まれてから死ぬまで、他人と全く同じ人生を歩む人などいません。
お釈迦様は、弟子たちに、「二人して同じ道を行くことなかれ」と説かれています。
一人一人が自分の中に確固たる信念を持ち、自分の生きる道を大切にしていかなければなりません。同時に、私たちは決して一人ではなく、多くの人に支えられていることも忘れてはなりません。
それぞれが与えられた役割を果たしながら、最後は、みんなが幸せになれるよう、日々、お釈迦様の教えを学び、実践していきましょう。
文・日向 うらら
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