バッディヤ長老はまだ年が若かったため、他の比丘たちは、誰も、彼が長老だとは思いませんでした。
「長老」という言葉には、その集団の中で最も年をとっている人というイメージがあります。一般的にも、長老とは年長者のことをいいますが、仏教では、智慧があり、徳の高い人のことを年齢に関係なく、長老と呼んでいます。
皆さんは、部活動では、中学1年生は2年生、3年生の言うことを守らなければならないなど、年齢によって先輩、後輩の関係がはっきりしていることが多いかもしれません。
しかし、社会に出ると、何でも年齢順でえらいというわけではなくなります。自分よりも年下の人が上司になったり、スポーツで自分より若い選手に負けたりすることもあります。
たとえば、将棋の藤井聡太七段は、史上最年少の14歳2ヶ月でプロ棋士となり、自分の何倍も生きてきた大人たちを相手に対等に勝負し、昇段を重ね、今や師匠と同じ7段になりました。彼の発言からは、子供らしからぬ芯の強さや誠実さを感じます。ひたむきに努力し続けた結果が、今につながっているのでしょう。
尊敬できる人
もちろん、年上の人は、自分より長く生き、いろんな経験をしている人生の先輩ですから、軽んじてはいけません。
一方で、年下だからと相手を見下したりせず、年齢に関係なく、相手の実力を素直に認めることができるだけの心の広さを持つことが大切です。若くとも、成熟した人間は、社会的にも認められ、人々から信頼されます。
「若い時の苦労は買ってもせよ」という言葉があります。
子供の頃から仏様の縁に触れることは、人格形成の大きな基礎となり、その教えを日々、実践していくことで、素直で誠実な、信頼される人になることができるのです。皆さんには、光り輝く未来が待っています。自らの光で周りを照らし導けるよう、歩んでいきましょう。
文・
日向 うらら
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