知らない場所や誰もいない地で一人になった時、恐怖や不安に襲われます。頼れるものが何もない状況では、人は心細くなるものです。お釈迦様の弟子たちも、修行中に恐怖を感じたことがあったのでしょう。お釈迦様は、そんな弟子たちに対し、恐怖や不安を取り除くためには、
「仏・法・僧を思い、念じなさい」と仰せになりました。
「仏」とは、仏様、「法」とは、仏様が説かれた教え、「僧」とは、その教えを信じ、共に修行する教団のことです。この「仏・法・僧」は、三宝といって、宝にたとえられるほど、仏教において大切にされている、三つの根本的な「よりどころ」です。
頼りにしているもの
皆さんは、恐怖や不安を感じた時、どのように自分の心を落ち着けようとしますか。ある人は、家族や友だちのことを考えたり、またある人は、好きな歌を歌ったりするかもしれません。人それぞれ、いざという時、心の支えにするものが様々にあるでしょう。私たちは、日々の生活を送る中でも、知らず知らずのうちに、様々なものを心の支えにしています。
私たちが何を「よりどころ」としているのかは、失ったら困るものを想像すれば、おのずと分かります。たとえば、両親や兄弟、友だちや恋人といった人間もそうですし、病気やけがを治してくれる病院、知識や知恵を教えてくれる学校、衣食住に困らない社会、戦争や犯罪から守ってくれる国など、私たちは実に様々なものを頼りにして生きています。
しかし、よく考えると、これらはいつ失われてもおかしくはないものです。人間の命は百年と保てず、2600年以上続いてきた日本国さえ、いつ人口減少による衰退や、戦争による危機が起こるともしれません。さらにいえば、私たちの命自体も、決して頼りになるものではなく、いつ失われるか分かりません。
真のよりどころ
最後に、究極的に頼りにできるもの、それが、「仏・法・僧」という三宝です。仏様の教えは、お釈迦様が悟りを開かれてから現代まで、多くの仏弟子、上人方により護り伝えられてきました。この教えは、人の死という不安さえも解決し、真の安心へと導くものです。
「南無阿弥陀仏」という念仏は、文字通り、仏様を念じ、「お救い下さい」と頼む行いです。この三宝を支えにしてこそ、真の安心の中で人生を歩むことができるのです。
文・
秋空 あゆむ
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