みなさんは、お寺にお参りに行ったことがありますか。そこには仏様がお祀りされており、仏様の教えを聞くことができます。
その教えは、2500年も前に説かれたものです。現代の私たちのもとに、どのように伝わってきたのでしょうか。今回は、教えを伝える心について考えたいと思います。
雪山童子
昔、ヒマラヤの山々で修行していた雪山童子という名の少年がいました。童子は、真実の道を見つけ、それを弘め、人々を救いたいと願っていました。
ある時、童子が山で修行していると、どこからか声が聞こえてきました。
「ものすべて 常ならず 生まれては 消えてゆく」
それを聞いた童子は、
「この言葉こそ真実に違いない」と喜び、続きを聞きたいと強く願いました。辺りを見回すと、そこに立っていたのは、恐ろしい姿をした鬼でした。
腹をすかせていた鬼は、
「おまえを食わせてくれるなら、この言葉の続きを教えてやろう」と言いました。すると、童子は、
「私はその言葉を求めて、ずっと修行してきたのだ。私の血肉をやるなど、簡単なことだ」と言って、鬼に身を与える約束を交わしました。鬼は、続きを唱えました。
「うつろいの 止む時に まことなる 楽を得る」
童子は喜び、この言葉を人々に弘めるために、石や壁、木や道に刻みこみました。そして鬼に血肉を与えるため、童子は谷に身を投げたのです。すると、鬼はたちまち帝釈天の姿になり、童子を受け止め、地上に降ろし、
「あなたこそが真の修行者です」と讃え、礼拝したのでした。
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