
わらの枕
ヴァッジという国は、二つの強国にはさまれて、常におびやかされていましたが、うまく国を治めて、その独立を保っていました。
ある日、お釈迦様が、弟子たちを集め、その国の人々をたたえて語られました。
「この国の人々は、夜はわらを枕として眠り、朝早く起きて、熱心にそれぞれの仕事を行っている。そのため、隣国の王は、この国を攻めようと狙っているが、どうしても、その機会をつかむことができないのだ。
将来もしも、彼らの心が弱くなって、やわらかい寝床で、羽毛の枕をつかい、陽が昇るまで眠るようになったならば、その時こそ、隣国の王は、この国を攻める機会をつかむであろう。
今、そなたたちもまた、わらを枕として眠り、怠けることなく、熱心に、なすべきことをなしている。だから、悪魔がそなたたちの心を攻めようとしても、その機会をつかむことはできないだろう。
だが、将来もしも、そなたたちの心に、怠けたいという気持ちが出てきたならば、その時こそ、悪魔は、たちまち、そなたたちの心を攻める機会をつかむであろう」
123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142434445464748495051525354555657585960616263646566676869707172737475767778798081828384858687888990919293949596979899100101102103104105106107108109110111112113114115116117118119120121122123124125126127128129130131132133134135136137138139140141142143144145146147148149150151152153154155156157158159160161162163164165166167168169170171172173174175176177178179180181182183184185
