舎利弗尊者は、仏教に出会い、共に修行をしていた目連尊者を始め、師であるサンジャヤや弟子たちに、一緒に教えを聞きに行くことを勧めました。それは、素晴らしい教えをみんなと分かち合おうとする思いからでした。
サンジャヤとしては、たとえ自分が別の教えを説いていたとしても、参考までに、他の指導者の話を聞きに行くことくらいはできたでしょう。しかし、話を聞くことすら断ってしまいました。
なぜ、断ってしまったのでしょうか。それは、「プライドが許さない」という言葉に表れています。つまり、プライドが高いサンジャヤは、「自分が偉い」「自分こそが正しい」という思いに執われたことで、真実の教えを聞くチャンスを逃してしまったのです。
そんなサンジャヤの心を、お釈迦様は、「邪な見方」と仰いました。
サンジャヤは時代を代表する思想家というだけあって、とても賢かったのでしょう。しかし、そのような賢さは、プライドの高さにつながり、時として、大切なものから自分を遠ざけてしまうのです。このような「プライド」を、仏教語では「憍慢」といって、厳しく戒められています。
素直な心
私たちもまた、日々の生活の中で、どうしても「プライド」が邪魔をしてしまうことがあります。友だちとけんかをして、仲直りしたいのに、「自分が正しい」と思って素直に謝れないことや、学校で叱られた時、「自分だけが悪いわけではない」と反発してしまうこともあるでしょう。
このような思いになった時は、一度冷静になって、「素直な心」でいることを心がけてみましょう。「友だちと仲直りしたい」「確かに自分も悪いことをした」と、素直に認めることができれば、行動も自ずと変わってきます。
サンジャヤのように憍慢な心で過ごしていると、知らないうちに、正しい道を外れて、間違った方向へと進んでしまいます。いつでも素直な心でいられるように、お寺で仏様のお話を聞き、正しい考え方を身につけていきましょう。
文・暁 ひかり
◀️本棚70 1頁
123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142434445464748495051525354555657585960616263646566676869707172737475767778798081828384858687888990919293949596979899100101102103104105106107108109110111112113114115116117118119120121122123124125126127128129130131132133134135136137138139140141142143144145146147148149150151152153154155156157158159160161162163164165166167168169170171172173174175176177178179180181182183184185186187