
稲などのくきを乾燥させて作るわらは、縄やわらじ、麦わら帽子などに使われていますが、ふかふかの羽毛と比べると、枕としては硬くて、寝心地が悪いものです。
また、陽が昇るまで眠ることと比べられているように、ヴァッジ国の人々はまだ暗いうちに起きて、働き始めていたことがわかります。
力がある隣国の王がなぜ攻めることができなかったのか。それは、硬い枕で眠り、陽が昇る前に起きる生活をする人々に「隙」がなかったからです。攻められることにおびえ、辛い時もあったかもしれませんが、隙を見せません。
自分自身の生活を振り返ってみても、勉強や部活動、習い事などで、何か目標を持って熱心に取り組んでいる時とそうでない時の生活に、違いはありませんか。
「一日くらい、いいや」と思って心に隙ができ、結局、目標を達成できなかったという経験もあるのではないでしょうか。
日々 なすべきこと
また、ヴァッジ国の人々は仕事に励み、お釈迦様の弟子たちも修行者として、日々、なすべきことをなしていました。
だからこそ、何者からも征服されることはありませんでした。
それは、言いかえれば、日々の生活を通して、自分を磨き、育んでいたということです。
誰にでも怠け心はあるものですが、その心に負け続けていては、いつまでたっても、揺るぎない自分にはたどりつけません。
私たちが住む世界は、楽しいことと苦しいことが半々の世界であると説かれますが、楽しいことはあっという間で、苦しいことはとても長く感じます。
毎朝、早く起きたり、毎日、勉強や宿題をしたりすることも、苦しいと感じる人は多いことでしょう。
しかし、そうした苦しみに打ち勝ち、日々の暮らしに教えを活かすことは、「正命(正しい生活を送ること)」という、とても大切な実践の一つです。
どんなにすばらしいことを教えてもらっても、毎日の生活で実行しなければ、意味がありません。
ヴァッジ国の人々やお釈迦様の弟子たちのように、強い心でなすべきことを継続し、正しい生活を心がけ、自分の弱い心に打ち勝っていきましょう。
文・秋空 あゆむ
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