パセーナディ王は、一国の王様です。毎日の食卓には、高価でおいしい食べ物や、珍しい食べ物がたくさん並べられたことでしょう。王のために、栄養バランスを考えた、健康にもよい食材が集められ、一流の料理人が腕を振るって作った素晴らしい料理が、王の前に運ばれていたに違いありません。それにもかかわらず、王は、健康を害してしまいました。
私たちもパセーナディ王のように、おいしい食べ物をついつい食べすぎてしまうことがあります。皆さんには、暑い夏に、冷たいものを食べすぎて、おなかが痛くなってしまった経験はありませんか。
食べ物を口の中に入れると、「おいしい」と舌で感じますが、のどを通過して、体の中に入ってしまうと、味わうことはできません。そのため、おなかがいっぱいになっても、好きな食べ物を口の中に入れ続け、おいしい感覚をいつまでも味わっていたい、という欲ばる心が現れます。
私たちは、ちょっと小腹がすいただけでも、ついお菓子に手を伸ばしたり、つまみ食いをしたりと、何の苦労もなく食べ物を得ることができるため、いくらでもほしくなってしまいます。しかし、他の生きものは、そうはいきません。たとえば、ライオンなどの野生動物は、獲物を捕まえなければ、何日も空腹のままで活動し続けることもあります。そして、生きていくために必要な量だけを食べれば満足できるので、おなかがすいていなければ、たとえ目の前に獲物がいても、食べようとしないのです。
他の命に生かされて
私たちが毎日食べている野菜、魚、肉などの食材は、全て私たちと同じように生きていた尊い命です。本来、食事というものは、おなかがすいていない時に、楽しみで食べるようなものではないということです。
生きていくために、自分に必要な量を感謝して頂くものであるため、食べすぎると新たな苦しみである「不健康」が起こります。心をきれいにし、正しいことを行うには、体が元気でなくてはいけません。「もっともっと」と欲ばる心に負けないようにして、好き嫌いをせず、感謝して食べましょう。
文・飛鳥 ゆめ
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