念佛宗 【念仏宗】無量壽寺|まなびの泉

念仏宗の総合案内 サイト更新日2018年7月9日

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 私たちは、成長するにしたがって、勉強や部活動、習いごとなどの「やるべきこと」が増えていきます。大人になると、仕事でお金をかせぐために、何ヶ月も先まで予定がびっしりうまったり、夜にもお客さんをもてなしたりして、朝から晩まで働き通しという人も少なくありません。
「ああ、忙しい。忙しい」と言って、毎日を仕事に費やし、気がつけば年をとっているのが人生だといわれます。
 今回は、「忙しい」が口ぐせの長者の物語をひもとき、本当に優先すべきことについて学んでいきましょう。

多忙な長者

 ある年老いた長者は、仕事で多くの財をなしたため、宮殿のような立派な新居を建て始めました。長者が、自ら工事の先頭に立って、一生懸命に指示を飛ばしていたところ、お釈迦様がその家を訪問されました。
「よく働いているが、疲れはしないか。汝に教えを説こう。仕事の手を休めて、ここに座り、話そうではないか」
 お釈迦様のお言葉に、長者は、
「私は、この通り、多忙です。座って話をしているひまなどありません。子供の住まい、財宝置き場、使用人の部屋までこしらえねばなりません。ただ、本日はせっかくなので、一つだけ、簡単にお教え下さい」
と答えました。お釈迦様が、
「私には子がいる、財があると思い、愚か者はあくせくする。自分すら自分のものではないのに、なぜ、それらが自分のものであろうか」と唱えられたところ、長者は忙しそうに、教えを耳に留めようともせずに、
「今は実に多忙です。また後日、その言葉の意味を教えて下さい」と言ったため、お釈迦様は、静かにその場を立ち去られました。
 その後、突然、工事でつりあげていた屋根の一部が落ち、長者は頭を打って死んでしまいました。これを神通力で知られたお釈迦様は、
「長者は、私の言葉を信じず、我が身の無常にも気づかず、たちまちに後の世へ行ってしまった」と嘆かれたということです。

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