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命のつながり
 皆さんにも、嫌いな人や苦手な人がいることでしょう。時には、その人とケンカになったり、知らんぷりすることもあるかもしれません。
 しかし、お釈迦様は、世の中の全ての男女は、私たちの父母なのだから、憎しみ合うのではなく、慈しみ合わねばならないと説かれます。
 私たちは、永い間、生まれ変わり、死に変わりを繰り返しており、その昔、必ずどこかで、周りの人たちと親子だったことがあると言われるのです。
 さらに、私たちは人間だけでなく、動物にも生まれ変わります。人間も「鳥肌」が立ったり、「犬歯」と呼ばれる牙をもっているように、前の世で動物だったことを物語るなごりがあります。
 私たちを含むあらゆる生き物は、生まれ変わりの中で、親となり、子となって、知らず知らずのうちに、互いに深くつながり合っているのです。
 そのことを、古の日本の僧侶は、
「ホロホロと なく山鳥の 声聞かば
  父かとぞ思ふ 母かとぞ思ふ」
と詠われ、山鳥の寂しげな鳴き声にも、亡くなった父や母の姿を感じ、涙しました。

みんな家族


 このように、私たちが苦手な人も、まだ知らない誰かも、さらには動物や大自然さえも、みんな家族です。
 皆さんは、これから先、大人になるにつれて、たくさんの出会いがあります。
 一生のうちに、たった一度しか会わない人もいるかもしれませんが、その人とも生まれる前から、何かしらのつながりがあります。こうしたつながりを、仏教では「縁」といいます。私たちは、両親だけでなく、友人や先生、近所の人やお店の人などがいなければ、満足に生活していくことはできないでしょう。周りの人たちからも、たくさんの恩を受けて生かされているのです。
 では、私たちはその周りの人たちに対して何ができるのでしょうか。
 それにはまず、「自分だけ」という心をやめ、「自分の家族や友だちだけ」という心からも離れて、「みんな家族」だと思って、全ての人々や生き物に思いやりの心で接することです。
 父母という身近な縁、生き物や社会という広い縁、さらには大自然や仏様という真の縁を大切にすることです。自分が多くのお蔭で今ここにいることを自覚し、縁ある誰かのためにできることを見つけていきましょう。

文・日向 うらら

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