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 皆さんは目の前に困っている人がいたらどうしますか。何も迷うことなく手を差しのべるのが一番ですが、多くの人は戸惑いやためらいを感じることでしょう。その思いの奥には、「恥ずかしい」とか「関わりたくない」といった自分中心の考えが横たわっています。
 今回は、心から人に尽くすことについて考えてみましょう。

月のウサギ


 森の中に、ウサギとサルとオオカミとカワウソが住んでいました。この中でウサギには智慧があり、常々、他の3匹に対し、他に施すことの大切さを説いて教えていました。
 ある満月の夜、4匹は施しの修行を始めることにし、その前にまずは食べ物を探すことになりました。ウサギは、「食べ物を自分だけで食べるのではなく、みんなに分けるようにしよう」と言いました。そこで、カワウソは魚を、オオカミは肉とミルクを、サルはマンゴーを探してきました。しかしウサギはというと、日頃、草を食べているので、草しか見つけられません。
 そこへ、お腹をすかせた人が4匹の前に現れました。カワウソ、オオカミ、サルはそれぞれ自分の食べ物をあげましたが、ウサギには草しかありません。困ったウサギは、その人に、「火をおこしてください」と頼みました。
 やがて火がつくと、ウサギは自分を食べてもらおうと、燃えさかる火の中に飛び込んだのです。しかし、どうしたことか、ウサギの体は焼けることはなく、むしろ涼しく感じるほどでした。実は、お腹をすかせた人は、4匹の修行を見に来ていた天人だったのです。
 ウサギの行動に感動した天人は、その徳をたたえ、月にウサギの姿を映すようにしたと伝えられています。

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