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 となりの子が使っている消しゴムはとてもかわいい、友だちが持っているカードは珍しく、ゲームはとても面白いなど、人が持っているものが、とてもほしくなることがあります。
 また、となりの子たちが話していることを横でこっそり聞いていたり、メールの内容を横目で見たりしたことがある人もいるでしょう。
 誰もが持つ「ほしい」「見たい」という気持ちを、皆さんはどのようにコントロールしていますか。
 今回は「盗み」について学びます。

香りを盗む者

 ある日、お釈迦様は、弟子たちを前に、次のように仰せになりました。「昔、ある修行者が、池に咲く満開の蓮の花の香りをかいでいると、一人の女神が現れ、修行者に告げた。『あなたは、もらいもせずに、花の香りをかいでいます。それは盗みの悪の一つ。あなたは、香りを盗む者です』
 そこで、修行者は次のように問うた。『取ることもなく、折ることもなく、ただ離れて香りをかぐのみなのに、なぜ私は香りを盗む者と呼ばれるのか』
 さらに、ちょうどその時、一人の男がその池で蓮の根を掘り出し、花を傷つけていた。それを見た修行者が、『なぜ、あの男を盗人と言わないのか』
と問うと、女神は、『私は自分の間違いを正せる人にのみ言います。常に清らかであることを求める人には、毛の先ほどの悪さえも雲のように大きく見えるのです』と答えた。修行者は感動し、『他に過ちがあれば再び告げてほしい』と言ったが、女神は『自分自身で知りなさい』と告げていなくなった。修行者は心静かに考え、悟りを得た」
 話を終えられ、お釈迦様は、「その修行者は、実に私であった」と仰せになりました。


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