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 放課後や休日に友だちと遊んでいる時や、家族と旅行に行った時、おいしいごはんを食べている時など、楽しい時間はあっという間に過ぎていくものです。それに比べて、つらいことや苦しいことは、時間が過ぎるのがとても長く感じることがあります。
 もし、つらいことがない、安らかな世界があれば、いつか行ってみたいと思いませんか。今回は、安らぎを求める心、「菩提心」について学びます。

王舎城の悲劇


 今から2500年前、インドの国に、韋提希夫人という王妃がいました。
 ある時、息子の阿闍世太子は、太子を利用しようと考える悪友の提婆達多から、太子が生まれる時の秘密を聞かされました。それは、国王と韋提希夫人が、子供欲しさに仙人を殺したことの報いで、太子が国を滅ぼすという預言を受けたため、太子が生まれる時に殺そうとした、という話でした。それを聞き、両親を恨んだ太子は、自分が国王の座に就くと、両親を牢屋に閉じ込めてしまったのです。
 以前より国王と韋提希夫人に教えを説いておられたお釈迦様は、夫人が嘆き悲しむ心を知られると、夫人に会いに向かわれました。
 韋提希夫人はお釈迦様に、
「私は何も悪いことをしていないのに、なぜ、ここまでかわいがり育ててきた息子に、このような仕打ちを受けなければならないのでしょうか。それに、息子をそそのかしたのは、あなた様の従兄弟、提婆達多というではありませんか」
と自分の過去の過ちを忘れ、ただただ愚痴をこぼすのでした。しかし夫人が、
「私はもう、このような世界には、いたくありません。どうか安らかで清らかな国をお示し下さい」
と、涙ながらに話すと、お釈迦様は、
「本当に安らかな『浄土』という地がある。真の幸せとは、そこに生まれることである」
と明かされました。そして、
「どうか、その浄土へ生まれさせて下さい」
と心より願った夫人に、お釈迦様は、その方法を説かれたのです。

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