HOME > まなびの泉 本棚 > 本棚26 2頁



自分さえよければ
 ここに出てくる鬼というのは、実は外からやって来たものではありません。普段から自分の心の中に潜んでいる、「自分のことしか考えない心」の表れです。この心が、自分を苦しめるのです。
 そんな心を退治するために、お釈迦様は人に苦しみを与えることをしてはいけないと仰せです。
 例えば、人を馬鹿にしたり、嘘をついて迷わせたり。
 その言葉で相手を深く傷つけてしまったり、取り返しのつかない間違いをさせてしまうことだってあります。
 また部活で活躍している子をねたんで、風邪でもひけばいいのになどと思ってしまい、人の幸せを素直に喜べないことも、自分のことしか考えていない心があるからです。
 その反対に、「自分がどうなっても相手を幸せにしたい」と思う心もあります。例えば、お母さんは私たちに何かあると自分のことのように喜んだり、悲しんだりしてくれます。病気になったら代わってやりたいとさえ思って、必死に看病してくれるでしょう。

命を大切にすること



 これと同じ心が仏様の心、慈悲の心です。それは私たちが普段気がつかないところで私たちを包み育んでいます。
 例えば自然はどうでしょう。太陽や水、空気などを考えてみて下さい。当たり前に思っていても、これらのどれか一つが欠けても私たちは生きることができません。「母なる地球」「母なる大地」という言葉があるように、自然というのは私たちを包み込み育ててくれる母親のような存在、つまり仏様の心そのものなのです。
 まずは自分自身が、当たり前に生きているのではなく、その大きな慈悲の中で生かされていることを知ることが大切です。そんな自然に対して「何でこんなに暑いんだ」とか「雨なんてふらなければいいのに」などと愚痴を言ってはもったいないと思いませんか。
 そして、自然の中で生かされている命は、一つ一つがとても尊いものです。ですから人や生きものを傷つけたり、命を無駄にしてはいけません。
 大きな慈しみの心に感謝して、生きものや身の周りにあるものを大切にし、他の幸せを願って生活することで、仏様の心に近づくことができます。
 そのような心で毎日を過ごすことが幸せな人生となるのです。




文・日向 うらら

本棚26 1頁