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「嘘は善いことか。悪いことか」
と聞かれたら、誰もが「悪いこと」と答えるでしょう。では、今までに嘘をついたことのない人はいるでしょうか。
 答えは言うまでもありませんね。
 人間は悪いことだと分かっていても、簡単に嘘をついてしまいます。たとえば、叱られるのが恐かったり、本当のことを言う勇気がなくて、嘘をつきます。
 その時、どんな気持ちになりますか。
 その場はうまくごまかせても、いつバレてしまうかと、後ろめたい気持ちになるでしょう。
 心に思っていることは、顔つきや様子にも表れます。冷や汗をかいたり、おどおどしたりして落ち着きません。
 それは、人の心の奥底に、善に向かおうとする思いがあるからです。

嘘つきラーフラ

 お釈迦様の一人息子のラーフラは、よく嘘をつき、人が困る様子を見て面白がっていました。
 ある日、お釈迦様は、ラーフラに、水を入れた器を持ってこさせ、足を洗われると、にごった水を見せて、「そなたは、この水を飲めるか」と仰いました。
 ラーフラが「飲めません」と答えると、お釈迦様は、「そなたの心も、この泥でにごった水のように、悪で汚れてしまっている」と仰せになりました。
 次に、お釈迦様は、ラーフラに器の水を捨てさせると、「この器にご飯を盛って食べられるか」とお尋ねになりました。
 ラーフラが、「汚くて食べられません」と答えると、お釈迦様は、「足を洗った器が使えなくなるように、嘘をついて心が汚れた者は、誰からも信用されなくなる」と仰いました。そして、器を足で蹴り飛ばされ、「この汚れた器が壊れても、誰も悲しまないように、嘘をついて反省もしない汚れた心の者は、誰からも愛されず、大切にもされない」と、厳しくお叱りになりました。
 ラーフラは自分の悪い行いを恥じて、恐ろしさに震えました。その後、深く反省したラーフラは二度と嘘をつかず、修行に励むようになったそうです。

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