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 私たちの心の中には、善い心と悪い心のどちらもあります。
 困っている友だちを助けてあげたいと思って声をかけたり、お母さんに喜んでほしいなと、自分からお手伝いをするなど、人のことを思って善い行動をした経験があるでしょう。
 逆に、友だちの悪口を言ったり、頼まれてもお手伝いしなかったり…と、毎日の生活の中で、ちょっと意地悪な気持ちになったり、嘘をついたりしたこともあるでしょう。
 お釈迦様のおられた時代にも、みんなのためを思って一生懸命に説法をしながらも、自分の欲を捨てきれず物に執着した弟子がいました。
 今月は、「言葉と行動を正しくすること」について学んでいきましょう。

言葉と行動の違い

 お釈迦様の弟子のウパナンダ長老は、布教の旅に出かけ、少欲の教えを説き、多くの信徒たちを感動させてきました。しかし、長老には悪い癖があり、自分が話す教えの内容とは反対の一面をもっていました。
 ある村に布教に出かけた長老は、信徒たちから雨季の間、村に滞在することを勧められました。別の村へ布教に出かけた時にも同じように滞在を勧められましたが、長老は、その度に、「ここにいれば、どれだけのお供えをもらえますか」と聞き、一番お供えの多い村での滞在を決めていました。
 またある日、ウパナンダ長老は、若い弟子二人が、二枚の衣と一枚の毛布をめぐって、言い争いをしているところに出会いました。
 相談を受けたウパナンダ長老は、言葉巧みに、この二人の弟子に衣を一枚ずつ手渡し、争いをおさめたお礼として、心地よさそうな毛布を持っていってしまいました。
 それまで、この二人の弟子は、長老のことを尊敬していましたが、長老のこの行動にがっかりし、お釈迦様に伝えることにしました。お釈迦様は、長老の言葉と行動が違うことに対し、
「比丘たちよ、ウパナンダは過去世でも同じような過ちを犯していた。
 説法をする者は、まずは自分を正しく導き、その後に自分の行いをもって他人に教えなければならない」
と、話されました。


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